故障して部品が調達できず使えなくなった古いハスクバーナ(Husqvarna)チェーンソー【Husqvarna Chainsaw MODEL36】15inバー付。年に数回しか出番がないのでずっと使用できていたのですが、意地にでも修理しようとやってみた!今回は、ハスクバーナ(Husqvarna)のチェーンソー36の修理とメンテナンスの奮闘記をご紹介します。
Contents
- 古いハスクバーナチェーンソー36が修理に至るまで
- 実際にハスクバーナ36のチェーンソーの内部を分解してみる
- 特殊工具がないので自作工具でチェンソー修理に挑戦する!
- ようやくチェーンソーのスプロケット部分にたどり着く
- チェーンソーの型が古すぎてスプロケットドラムなどの部品調達ができない
- ハスクバーナの古い部品をもう一度チェックしてみる
- チェンソーの部品を海外からeBayで輸入調達してみる
- 中国から無事にチェーンソーのスプロケット部品が届いた
- チェーンソーのエンジン部分がどうなっているかを分解チェックしてみる
- 購入したチェーンソーの部品を組み立ててみる
- 組み立てたチェーンソーのエンジンをかけて試運転してみる
- 復活したハスクバーナ チェーンソー36の動作確認と試し切り
- 番外編:チェンソー?チェーンソー?読み方はどっち?
古いハスクバーナチェーンソー36が修理に至るまで
古いチェーンソーのモデルはハスクバーナ【Husqvarna Chainsaw MODEL36】15inバー付です。
このハスクバーナチェーンソーは「親父の形見」で特別な思い入れがあります。
さすがに劣化したハスクバーナの燃料フィルターとホースは、3年位前に既に修理、交換済みで、キャブレターは特に問題なく動作するので、大事に使っていましたが、数年前に知人に貸したところ、なんとガイドバーが焼けて修理とメンテナンスが必要な状態で戻ってきました。
形見なので、その時のショックは大きかったですが、それでも、なんとか直しながら使用できていたのですが、2018年の大型台風21号の通過により、我が家も大きな被害が出て、木の伐採や冠水した畑の排水作業など色々と作業をしなければならない事態になりました。
作業の中で、何年か前に切り倒して枯れた直径約50cmの椚が邪魔になったので、チェンソーを使って木を切断作業をしていたとき、故障が発生!
チェンソーの切れが多少悪かったのですが、でもあとちょっとだから!と、過負荷気味で焦って使用を続けていたら、チェーンが挟まって、ハスクバーナのガイドバーは激アツの高温状態になってしまいました!
故障です。枕かクサビを入れておけばよかったと、あ〜!なんてことだ!悔しさと後悔でしかありません!
チェンソー内部からはシャリシャリ音も聞こえてしまい、やってしまった〜。と今更オロオロする始末。
でも、太い木を切るにはチェンソーが無いと話にならないのです。
大掛かりな枝降しや伐採作業などを業者に依頼すると多額の費用がかかるので、そんなもったいないことはせず、自分で!自力でやるしかありません!
小型の100Vの電動チェーンソーはありますが、椚、そろ、樫、みず楢、などの切断に対応できる馬力はないので、役に立ちません。
それなら、最新型のハスクバーナのチェーンソーを購入すればいいじゃないか!
というだけの話ですが、、、。おっさんは林業を営んでいる訳でも、チェンソーアートをやってる訳でもないため、常時使うものでもないし、親父の形見の愛着もあってなんとか修理をしたい!メンテナンスをして残しておきたい!
単なる自己満足の世界ですが、だったら自分で修理してやろうじゃないの!ということになりました。
実際にハスクバーナ36のチェーンソーの内部を分解してみる
チェーンソーが故障したとき、通常修理が必要となる部分は、オイル漏れ、燃料漏れ、ブレーキ、リコイルスターター、キャブレター、オイルポンプ、エンジン、クラッチの異常などですが、とにかく中を開けてできることなら修理してみようと、恐る恐るクラッチカバーを開けてみると・・・
クラッチは大丈夫でしたが裏のスプロケットは深/浅2筋の溝が切れていました!
原因はこのスプロケット部分。やってしまいました。
もう少しだからと焦って、残りの切断作業を急いだのが大失敗!
取扱説明書をみても、内部の詳細はわからなかったので、ハスクバーナーのパーツリストを検索してみたところ、【Husqvarna Chainsaw MODEL36】で探すと英文のパーツリスト(分解図)がありました。
特殊工具がないので自作工具でチェンソー修理に挑戦する!
【Husqvarna Chainsaw MODEL36】チェンソーの英文のパーツリスト(分解図)によると、ハスクバーナのスプロケットを外すには、なにやらクラッチを外す特殊工具が必要らしいことが判明。
ネットで「ソケットレンチを加工して制作できる」という記事を見て、自分も手持ちでバラのKTC工具があったのでやってみることにしました。
クラッチの半丸穴は、17mmソケット対面の山を残せばピッタリでした!
切断砥石で対面2本の山を残して切り取り、やすりでバリをとって完成です。
ところが、肝心のハンドルをセットしようとしたら合わないことが判明します!
自分で持ってる手持ちセットは、差込角9.5のみ。でも、現物の差込角は12.7!
これじゃ合わないじゃん(笑)
やってやるぜ!自作工具で修理!
ということで、使わなくなったイケアのマガジンラックの一部分に穴をあけた自作工具を作って対応しました。
クラッチ半丸穴は5mm、廃鉄板(イケアのマガジンラック)に5mm穴を23mm間隔で並べて開け、ボルト・ナットで突起を作って代用しました。
エンジンの圧縮抵抗位置で半丸穴にセットして逆回転方向に(クラッチにOFF⇒あり)廃鉄板の後方を木ハンマで「コツン」とやる作戦を思いつき、いざやってみると、一撃で緩んだので、ひっくり返るほど拍子抜けしてしまいました。
ようやくチェーンソーのスプロケット部分にたどり着く
ハスクバーナチェンソー36のクラッチは、特徴的形状で、スプロケットは7枚歯のドラム一体型になっていました。
内部をよく見たところ、ブレーキ、ニードルベアリングは大丈夫そうで、さらに奥のオイルポンプのウォームギヤセットも無事でした。
ただ、気になる部分は、シャリシャリ聞こえた異音です。エンジン内部からなのかが気になります。
下町ロケットで、エンジニア島津さん役のイモトアヤコさんが、トラクターのわずかな異音が気になっていたと同じで、異音は、修理後も特に注意しておかなければならないポイントです。
チェーンソーの型が古すぎてスプロケットドラムなどの部品調達ができない
次は、スプロケットドラムのパーツをどうするかです。
そもそも、7枚歯スプロケットドラムを新品、中古品、ジャンク品からの分解といったなんらかの方法でパーツを見つけることができるのか?という心配が大当たりしました。
まずは、親父の代からお世話になってる農機具屋へ。見た目はごちゃごちゃしているが、言えばなんでも部品が出てくる、それはそれはすごい店だった。
しばらくぶりに期待を込めて行ってみると、移転して綺麗な新店舗になっていました。
尋ねてみると、超古い機械の残骸や各種交換部品といった需要がなく不要な物は全て処分したと。
パーツを探している側からすれば残念ですが、お店としては当然ですよね。
代が変わった店主に笑って新型のハスクバーナチェンソーへの買い替えをすすめられましたが、自分の気持ちとしては、何の意地なのか、もはや自分でもわからなくなりそうだが、中古部品でもジャンク機から取ったものでも直るものなら、なんとか、もう一度!という気持ちが強く、もう一度部品の詳細からチェックしてみることにしました。
ハスクバーナの古い部品をもう一度チェックしてみる
現物の古いハスクバーナチェンソー36は、本体銘板を見ると「made in USA」で、製造者は、エレクトロラックス・モーター・スウェーデン、販売者は、エレクトロ・ラックス・ジャパン(株)であることを確認できたので、使えるものはないか検索しまくり部品を探しました。
チェンソーの部品を海外からeBayで輸入調達してみる
「CHAIN SAW MODEL36/41」で検索すると英文の表示ばかりが検索に出てきます。
英文では、古い動画やリペアパーツの掲載が多く出ているものの、日本語ではハスクバーナでこの型番は見当たりません。そりゃもともとは輸入品だったから仕方ないことです。
今まで個人輸入の経験もないが、とにかくネットで部品の検索をしてみると、オークションサイトのeBayで該当品らしき部品の画像を発見しました。
翻訳ソフトで見てみると、販売者は中国からの出品で、純正品でないから当然かもしれないが、10ドル程度で意外と安いということが判明。
クランクシャフトベアリングとオイルシールも売っている。
追加で最悪に備え買っておくか?でもちょっと怪しいか?精度や耐久性は?と、不安要素はまぁ盛りだくさんですが、とにかく復活できたらラッキーくらいの気持ちで、1,000円前後なら騙されたと思って海外通販やってみるかと、捨てたお金と思ってチャレンジしてみることに。
この歳で新しいことを始めるのは、結構な労力がいるもの。
eBayについて調べてみると、初めてeBayで個人輸入するにはカード決済が必要で、Paypalにクレジットカードを登録いて、支払い方法はPaypalに指定すると支払はPaypal経由でクレジットカードで決済されることがわかりました。
カード使用は情報の漏洩リスクはあるけれど、このご時世、そんなことはもう言ってられませんね。比較的手軽で安心らしいということで部品の購入を決意。
※支払情報はPaypal経由で店舗にカード情報は伝わらない。
※商品に関する受注・配送等の情報はeBay経由になる。
※購入の都度カード情報の入力は必要なくPaypal決済を指定するだけ。
※ドル・円等の換算はPaypal側で取引時点でされる。
※トラブル・クレームはPaypal経由で返品・返金等の対応も行う
※もしもの漏洩対策でクレジットカードの請求は毎月チェックする。
※個人の輸入品関税は指定品以外は送料込価格約16,600円までは無税。
詳しくは税関サイトで「個人輸入通関手続き」に出ていますし、PaypalやeBayの利用方法は検索すれば詳しく載っています。
他にも輸入代行業者など、最良の方法があるかしれないが、 PayPayとかどうなの?と思うけれど、できるだけ安全な方法で買い物をしたいと思うのは、誰しもが思うことではなかろうか?
結局、騙されるのを覚悟して、購入してみた。
中国から無事にチェーンソーのスプロケット部品が届いた
一体どれくらいの日数でくるのか気長に待とうと思っていた矢先、購入した互換スプロケットの部品は想定外の早さで注文から9日目に到着しました。
続いて、念のため購入しておいた、クランクシャフトベアリングとシールは、翌日の10日目で届きました。
早速、到着した部品をチェックしてみると、スプロケットは外形0.5mm位と大きいじゃないか!ニードルベアリングは、やや雑な作り!
もはや笑いが止まらない。騙されたわけではないけど、こんなものかと(笑)
チェーンソーのエンジン部分がどうなっているかを分解チェックしてみる
早速スプロケとニードルベアリングをチェーンソーのシャフトに入れて確認し、もし失敗しても、最悪、購入した怪しい部品もあるし、この際、チェンソー内部まで見届けようとエンジンを開けてみることにしました。
先ずマフラーを外して中を見たところ、ピストンはセーフのようでした。
傷も焼けもなく光っていて、反対側のキャブを外し中を覗いても同様で、クランクシャフトベアリングのオイルシールからの漏れもありませんでした。
オイルポンプをシャフトのベアリング部分の確認のために外し、反対側のイグニッションコイルやフライホイールを抜いて本体からエンジン部分を外し、クランクケースを開けてみたところ底にゴミ残渣も見受けられない状態です。
クランクシャフトを持ち上げながら、そっとピストンを抜いてみると、見た目もきれいでシリンダー内壁も傷無し、リングの異常なく圧縮もしっかりありました。
フライホイール側のベアリングは、スッと抜ける状態で、クラッチ側はウォームギアがあるが、プーラーが無いのでベアリングの回転状態を確認するも、傷や異音はなし。
ベアリングは「NSK(日本精工) USAの6201」でした。
コンロッドのニードルベアリングは、ピストン側は外見の異常やガタもありませんでした。
気になる点としては、クランク側の軸方向のガタがやや大きいように思うが、見た目としては、異常はないように見えたので、一応エンジン内部には異常がないと勝手に判断しました。
クランクケースを開けたので、組付けに液状ガスケットが必要になり、バイクの部品店で「キタコ液状ガスケットKCー027(耐油耐熱)」を350円で購入し、ついでに0.5mmガスケットシートも追加調達しておきました。
購入したチェーンソーの部品を組み立ててみる
いよいよ、分解洗浄したハスクバーナ純正パーツと購入した互換部品の組み立てです。
手順を順番にご紹介していきます。
キャブレター、イグニッションコイル、オイルポンプはそのまま使用し、スプロケットドラム、ニードルベアリング、エアフィルターは互換品に交換して、ガイドバーはバリ取りを行い調整します。
クランクシャフトのベアリングとオイルシールも現状このまま使用します。
クランクケースの合わせ目をパーツクリーナーで清掃してから、両面へ液状ガスケットを薄く塗りつけて2〜3分間待ちます。(速乾約7分程度)
ピストンとシリンダー内壁に、オイルを塗ってシリンダー側へ挿入しクランクケースカバーとシリンダー側を合わせボルトで固定する。
エンジン部分をオイルタンク一体の筐体にはめ込み、フライホイールをシャフト溝に合わせて嵌めナットで固定する。
ガソリンタンク一体のスロットルレバー付の筐体を防振ゴムを介して4本のボルトで止めます。
燃料ホースをタンクからキャブ側の筐体の穴へ通しておきましょう。
キャブのアダプターをシリンダー側へ取り付けと、イグニッションコイルとプラグコードを取り付けを行います。
キャブレターをパッキンとインテーク側のベースに挟んで取り付け、同時に停止スイッチの配線をベース止めのボルトに挟む。
燃料ホースをキャブレターの上を回して取り付ける。
エアフィルターベースを挟みエアフィルターを取り付ける。
チョークレバーとスロットルリンケージ、マフラーとハンドルを取り付ける。
プラグ回り清掃して締め付け、オイルポンプとニードルベアリング、スプロケット部分などにグリスを塗ってドラム(ワッシャ大小2枚)とクラッチシューを取り付ける。
最後にトップカバー、ソーチェーン、スプロケットカバーを取り付けて、組み立て完成となります。
ちなみに、普段、チェンソーの目立機はOREGON(オレゴン)を使用しています。
チェンソーの目立てについては、また後日詳細をアップする予定です。
組み立てたチェーンソーのエンジンをかけて試運転してみる
修理作業も終わり、いよいよチェーンソーの試運転です。
ガソリンとオイルを入れてチョークを引き、ドキドキしながらスタータを2回引く。
チョークを戻して再度スターターを引くと・・・無事に1発始動しました!
スロットルを握ると、キュイーン!!キュイーン!!キュイーン!!と気持ちのいい高音を響かせて吹き上ります。
オイル塗布の影響で白い煙を勢いよく吐き出して、古いハスクバーナのチェーンソーが無事に復活しました!修理完了!
何かが出来上がる感動ってこんなに良いものだったのか。
復活したハスクバーナ チェーンソー36の動作確認と試し切り
切れ具合が解るようにソーチェーンも新品に交換して取り付けを行い、さあ!待ちに待った最後の試し切りです。
スターター引くこと3回目で無事エンジンが始動して、スロットルを握るとキュイーン!と心地よく吹き上がりました。
枯れた20cm位の椚の木にチェーンを当て自重だけの状態で、スロットルをさらに握ると気持ち良い!!キュイーン音が発生!!
この音を待っていたんだよな〜。
歳を重ねて、やってみよう!という気持ちを忘れていたような気がする。
海外からの部品の輸入調達と修理でどうなることかと思いましたが、チェーンソーハスクバーナ「CHAIN SAW MODEL36」が無事に復活しました。
古い思い入れのあるチェンソーをお持ちの方は、自己責任でチャレンジしてみてください。
番外編:チェンソー?チェーンソー?読み方はどっち?
「チェンソー」「チェーンソー」どちらも同じ機械のことを指しますが、どっちが本当なのかよくわからないという方も多いはずです。結論からいうと、どちらも正解!言葉で話すには「チェンソー」の方が使用頻度が多いですが、あえて言葉にすると「チェーンソー」なのでしょうかね?
カタログやメーカーの公式ホームページにはチェンソーと記載していたりチェーンソーだけの場合と、両方記載している場合もあります。
英語ではChainsawあるいはChain sawと表記されますが、チェーンの発音をのばすか伸ばさないかの読み方の違いでどちらも「チェーンのノコギリ」という同じ意味です。今回いくつかのメーカーの公式ページを確認してみましたが、もし検索するときは、「チェンソー」「チェーンソー」と両方のキーワードを入れて探してみるとよいでしょう。
電気親父の挑戦は続く、、、。