土の中でのびた樹木や笹などの根っ子を切る道具「根切り」を自作した記録をご紹介します。今回は、力が入りやすいように、スコップのように踏み込んで力が加わる足踏みタイプの根切りをオールステンレスで作ってみました。
Contents
根を切る道具「根切り」
根切りは、樹木や竹などの地中にのびている根を突き刺して切る道具で、庭木や自然薯などの山芋堀りなどにも使われます。
根切りの形状は、長さ約1mの鉄棒の先端に細長い台形(6cm×10×高さ20cm)の焼入刃が溶接されて、反対側の先が尖っており、通常は両手で棒の上部を握って上に持ち上げ地中の根っこを狙って突き刺して根を切っていきます。
雑木や篠(竹)、笹などの根は、非常に強いため放っておくと根が増えて大変です。
おっさんの家では篠の根が芝生の下の柔らかい土を侵入し、大変困ったことになっています。今までは、市販の根切りやスコップで掘り上げていましたが、最近肩に痛みがあるため、手持ちの材料を使ってDIYで「足踏み式の根切り」を作ってみることにしました。
自作根切りの作り方
材量は水道用ステンレス配管などを利用してオールステンレス仕様で作ります。
<オールステンレス自作根切りの材料>
- 1/2インチ規格のステンレスパイプ1m(外形21.7mm、内径約16mm、肉厚2.5mm)
- 1/2インチ規格のステンレス製チーズ(T字継手で3方向ネジ接続用)
- ステンレス丸棒φ15×1m
- 4mm厚のステンレス板端材(6cm×8cm)
- M8のステンレス6角ボルトとナット2セット
ステンレスパイプの加工をする
- まず1/2インチ規格の長さ1m水道用ステンレスパイプの両端に、パイプマシンを使ってネジ切りを行う
- 次にパイプマシンの回転刃で70cmと30cmとにカットする
- カットした30cmの方をパイプマシンの回転刃で半分にカットする(15cmが2本になる)
- カットした一方のパイプには、ネジ山が未加工なので片側のみパイプマシンでネジ切りをする
- パイプマシンの作業はここまでで、安全のためパイプ両端のバリをヤスリでしっかりとっておくこと
- 70cmの方はネジのない側の下から5cm、10cmにボール盤でM8ネジのタップ用の下穴(M6.8)を空け、2カ所の穴にM8のタップを立てメネジを切る
- M8ボルトにナットを嵌めてパイプのM8ネジ穴にねじ込み、ナットがパイプに密着するようスパナで絞めて固定し(絞め過ぎはネジ山の連続性不良になります)、TIG溶接でナットをパイプに溶接する。
※ここでもし失敗したらM8のタップでネジ山を微妙に修正することもできるので大丈夫です。
ステンレス板の加工をする
次は、足踏み板部分の加工です。
- ステンレス板の6cm巾の片方を1/2インチパイプの外周に合わせてサンダーとヤスリで削り取る
- 一辺を三日月状に削り取ったステンレス板をパイプの下部から2cmの位置でパイプに対して直角に、パイプのボルト位置からやや右下110度位(ハンドル側から見て)になるようにTIG溶接で裏表ともしっかり溶接する(おっさんは右利きなので左利きの方は逆です)
※ちなみに、ステンレスTIG溶接機は、近所の工場で使用させてもらい、パイプのカットとネジ切作業も知人の配管業者にREXパイプマシンF50A㈽(ステンレス用チェーザ付)を拝借しました。
ステンレス丸棒(φ15)の加工
ステンレスの丸棒の加工に入ります。
- φ15ステンレス丸棒の先を「金床(廃レール)」上で、ハンマーを使って叩き先が薄い三角形の刃に整形する
- 刃先から50cmの位置から刃の平面に対して直角に、3cm間隔で直線上に4カ所ドリルで浅い座切りをする
今回は、ボルト固定を3cm間隔にして長さを調整できるようにしています。下側のボルトは押さえ用なので座切はしていません。パイプ取り付け時に10cm間隔の2本のボルトは上側で確実に凹みに固定して、下側は押さえ用になります。
部材の加工はこれで終わりです。
根切りの部材を組み立てる
最後は加工した部材を組み立てます。問題なければDIYでの組み立て作業というものは、ワクワクする楽しい時間帯ですね。
- まず、M8ナットと4mm厚板を溶接した70cmのパイプをチーズ(T字継ぎ手)の縦方向に接続します。
- チーズをバイス(万力)で鋏んで固定しておいて、パイプレンチでくわえてねじ込みます。
※通常の配管現場では、パイプレンチ2丁で互いに反対方向にくわえて回しますが今回はバイスを使って作業しました。一般に水道、エア、油圧等の配管作業ではネジ山に漏れ防止用にテフロン製のシールテープを巻きますが今回は漏れの心配はないので不要です。 - 次に15cmにカットしたパイプを1/2インチのチーズ(T字継ぎ手)の水平方向の両側にねじ込みます。
※本来はチーズをバイス(万力)ではさみ、パイプレンチでくわえて、パイプをねじ込み固定するのですが、ここは手でねじ込み簡単に着脱可能にすることにしました。収納時には抜けた方が場所をとらないのでおすすめです。
- 刃先を加工した丸棒をパイプに差し込み、全体の長さを仮に決めます。上側ナットの位置で丸棒の長さを3cm単位で上下に調整し、回転させて凹みに合わせ、M8ボルト2本を13mmのスパナで絞めれば完成です。
パイプ肉厚は約2.5mmあり、内径約16mmに15mm丸棒挿入ですがボルト締めでガタつきは全くなしです。総重量は2.6kgありますが丈夫に仕上がりました。
自作根切りの使用方法
使い方は、根切りのT字のハンドル部分を片手で持ち、縦のパイプ部分を利き手で握ります。次に地面に挿す位置に刃先を置いてから、両手でハンドル部分を握り踏板に足を乗せて体重をかけて強く蹴ります。
スコップで土を掘るイメージですね。
地中に深く刺さった状態から、パイプを倒す”てこの原理”で根を浮かせて堀り上げます。引き抜く時は両手でハンドルを握り、腰痛対策で膝や背筋など体全体を使うように注意しましょう。
刃先はステンレスなので柔らかいのが難点ですが、刃が減ってもパイプの中に予備分があるので、再度刃先の加工を行えばよいですし、切れ味を改善するには鋼製の丸棒に変えて焼入刃仕様にするのも方法の1つです。
基本的に根切りは、太い根には使わず、細い根、竹、篠などや深いゴボウ根を持つたんぽぽやギシギシなどの雑草の掘り起こしに使用するとスコップよりも深く入るのでおすすめです。山芋やゴボウ掘りにも大活躍します。
オールステンレスで部材の厚みもあり結構な重量がありますが、肩への負担も少なく、誰も持っていないDIYで作った、たった一つの根切りなので見た目も綺麗で気に入っており、日常の作業にとても役立っています。
水道用のパイプを使ったオールステンレスの「自作根切り」の記録でした。