玉掛け作業者資格

クレーンの吊り上げ業務に必要な玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得する

クレーンの吊り上げ業務に必要な玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得する

玉掛けとはどんなものかご存知ですか?日頃から建設現場や輸送関係、クレーンなどの業務に携わっている人にはなじみの深い言葉ですが一般の人には、何のことだか、さっぱりわからない言葉だと思います。今回は、国家資格である玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)の取得のために行われる玉掛け技能講習と特別教育について解説します。

クレーンの吊り上げ業務に必要な玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得する
玉掛けとは、クレーンやデリックなどを使って重量物の吊り上げ、吊り下げ時に、重量物に対して、ワイヤロープや合成繊維で軽いベルトスリングなどを用いてクレーンやデリックなどのフックへ掛ける作業と、その指示をする一連の作業をいいます。

実際に現場で行っている人に、玉掛けの語源を聞いてみましたが、語源は勾玉や掛け軸、大砲の弾、ワイヤーの丸い部分など諸説あるそうで、これといった決め手はないそうです。

玉掛けを行うには、国家資格である玉掛け作業者になる必要がある

玉掛けを行うには国家資格が必要です。クレーン免許だけの資格を取得していても玉掛け作業はできません。玉掛けの国家資格を取得していなければ、作業を行うことはできません。

玉掛け作業を行う人のことを「玉掛け作業者」と呼びます。玉掛け作業者はクレーンやデリックなどのへ玉掛け業務を行うことができますが、球形の物、高価な物、複雑な形の物、重心がかたよった物を吊る際の玉掛けは難しい作業で、十分な知識と技能がある玉掛け作業者が操作を行わないと、危険をともないます。

玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得するには

クレーンの吊り上げ業務に必要な玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得する
玉掛けは、労働安全衛生法、厚生労働省令、規則等で安全衛生の危険な業務に指定されており、諸規定等により「玉掛け技能講習」または「特別教育」が義務付けられています。

玉掛け技能講習と特別教育について

玉掛け技能講習

会社が、従業員を玉掛け業務に従事させるには、クレーン吊り上げ荷重1t以上の場合は「玉掛け技能講習」の実施が必要になります。
玉掛けの技能講習は、3日間で19時間必要で、資格所持、経験等の免除要件がある場合は講習時間が短縮されます。

<玉掛け技能講習の講習時間の免除要件>

16時間>1トン以上のクレーン、移動式クレーン、デリック、揚貨装置の玉掛け補助作業が6ヶ月以上経験ある者
15時間>移動式クレーン、またはデリックの運転士免許を持っている者、あるいは、小型移動式クレーン、または床上操作式クレーンの技能講習修了証を持っている者

特別教育

建設業務などを行う事業者が、従業員を玉掛け業務に従事させるときに、クレーンつり上げ荷重1t未満の場合は「特別教育」の実施が必要になります。
玉掛けの特別教育は2日間で、学科4時間と実技5時間の計9時間の講習が必要です。

クレーン免許と玉掛け作業者は別の資格

玉掛け資格は、クレーン免許とは別の資格となるので、クレーン免許を所持していても玉掛け作業はできません。玉掛けをする場合は、別途に国家資格を取得する必要があります。

ユニック車両(積載型クレーン)の操作には、国家資格である、移動式クレーンまたはデリックの運転士免許、あるいは、小型移動式クレーン、床上操作式クレーンの技能講習修了証を持っていなければなりません。

玉掛け作業者の国家資格は、就職や転職、求人募集で有利になるスキル

玉掛け作業者の国家資格取得によって、日常の安全意識や知識の向上はもちろんのこと、収入や給与のアップ、現場系の就職や転職の際は履歴書への記入で有利となるスキルといえます。

玉掛け技能講習の詳細について

玉掛け技能講習の実施場所

玉掛け技能講習は、厚生労働省関係の社団法人や、タダノやコマツといった重機製造会社系の教習所などで受講ができます。厚生労働省へ登録を行った業者が全国各地で毎月のように実施しているので、自分のエリアで実施される場所がどこかを確認すれば受講ができます。おっさんは重機製造会社系での講習を受けて資格を取得しました。

玉掛け技能講習受講費用

玉掛け技能講習の受講費用は、各会場で金額が異なり、一律料金ではありませんが、だいたい23,000〜26,000円が相場のようです。詳しくは最寄りの講習会を実施する窓口で確認して下さい。

玉掛け技能講習受講時間

初めての受講で、経験、資格所持等の免除の要件がない場合は、19時間の玉掛け技能講習が必要となります。
免除の要件があると講習時間短縮

玉掛け技能講習の講習時間の免除要件

玉掛け技能講習の講習時間の免除要件は以下の通りになります。

16時間>1トン以上のクレーン、移動式クレーン、デリック、揚貨装置の玉掛け補助作業が6ヶ月以上経験ある者
15時間>移動式クレーン、またはデリックの運転士免許を持っている者、あるいは、小型移動式クレーン、または床上操作式クレーンの技能講習修了証を持っている者

玉掛け技能講習の内容

おっさんは当時全くのど素人でしたので、玉掛け作業にに関わるのも初めてだったので、一切免除要件はなく、3日間で19時間の技能講習を受けることで試験を受け、合格ができました。試験は力学的な内容が含まれますが、さほど難しいものではありません。玉掛け技能講習の3日目の講習後に、実技試験が行われます。

  • クレーンの種類と構造
    天井クレーン、移動式クレーン、トラッククレーンなどの種類と構造について
  • 吊り具の構造
    フック、リフティングマグネット、バキューム、グラブバケットなど吊り具の構造について
  • ワイヤーロープ
    ワイヤーロープの基礎知識や構造、太さ、強度、ワイヤーロープの選定方法について
  • 玉掛けに必要な力学の知識
    玉掛けはむやみに作業を行うと危険がともなう作業です。力の作用やバランスを考えて、頭を使いながら慎重に、正確に作業を行わなければならない技術職です。
  • 力の作用、合成、分解、モーメント、つり合い、平行力のつり合い、重心と質量、重心の位置、重心と安定、重心とつり合い、物体の運動と速度、速さ、速度、加速度、慣性、求心力、遠心力、静止摩擦、転がり摩擦
  • 玉掛けの方法
    安全に作業を行うためには、用具の点検や適切な作業と合図が必須です。
  • 用具の種類と使用方法、用具の点検、用具の選定、玉掛け作業の基本動作、合図の方法、電気の基礎知識、ワイヤーロープ、チェーン、を用いてクレーンの釣り具へ取り付け、取り外し作業
  • 関係法令
    玉掛け作業者は国家資格なので、きちんと規則や法律を学ぶ必要があります。
  • 労働安全衛生法及び関連省令、規則等、クレーン等安全規則、玉掛け技能講習規定、その他関連規定
  • 筆記試験
    講義が終わったらいよいよ筆記試験です。問題は講習を聞いていればさほど難しいものではありません。
  • 玉掛け実技講習(3日目)
    実技講習では、技術をや知識を学ぶことで、現場では早速役に立つことでしょう。
    作業準備、ワイヤーでの吊り方、合図の仕方
  • 実技試験(合格で修了証を取得)
    最後に実技試験をクリアすれば資格取得となります。

「玉掛け」の知識を使って庭の石を移動する

レバーホイストで石を動かす
玉掛け技術はクレーンやデリックがあってはじめて使える技術ですが、おっさんは、玉掛けの講習会で学んだ知識と資格を生かして、玉掛けの技術を応用し、クレーンを使わずに庭の大きな石を動かしてみました。

普通であれば、小型トラックに赤や黄色、青などの車載クレーンが付いていて、おそらく誰もが一度は走っているのを見たことがある、通称「ユニック」というクレーン車両を使えば、あっという間に石の移動作業が完了できます。動かそうとする石の重量は、100kg程度の石なので、、「玉掛け」作業の条件には該当しませんが、今回おっさんは、動力を使用せず、「玉掛け」知識を活用し、昔からの道具「レバーホイスト」を使って石を移動させます。
レバーホイストで石を動かす

大きな石を玉掛けの応用で、動力なしで移動させる方法

  • てっぺんに支持具の付いた三脚を石の真上にしっかり固定する
  • 支持具にレバーホイストを吊るしフックを下す
  • 石に巻き着けたワイヤーをフックに掛ける
  • レバーホイストのレバーを前後に引いてチェーンを巻き揚げる
  • 石の下に板を入れる
  • レバーホイストの逆回転操作をしてからレバーを前後に引いて板の上へ降ろす
  • 板の上でワイヤーを掛けて横に引張って移動する
  • 板の端まで来たら三脚を移動して同じ作業を移動先まで繰り返す。

原始的な方法ですが、この程度の重量ならば、玉掛けの知識を使うことで、1人でも簡単に石を移動することができます。庭や軒先にある大きな石でお困りなら、クレーンを使わなくても移動することができますよ!

今回は、玉掛け資格についてご紹介しました。

レバーホイストで石を動かす

レバーホイスト

ワイヤーロープ

番外編:ユニックのクレーンの色について

今回は石を動力なしで動かしましたが、小型トラックに赤や黄色、青などの車載クレーンが付いているユニック車には、メーカーで色が異なるのをご存知ですか?
業界の人たちは、この車両のことを「ユニック」と呼びます。

しかし、ユニックという名前は、正式な車の名前ではなく、車を製造している大手のメーカーである「古川ユニック」の普及によって他のメーカーの車両も通称「ユニック」「ユニック車」と呼ばれています。

ユニック車はクレーンの色がいくつかあり、これらは、基本的にはメーカーによって色分けされていて、クレーン部分を見ただけで、どこのメーカーかがわかります。

大手の古川ユニックは赤色(ユニッククレーン)、タダノは青色(カーゴクレーン)、新明和工業は黄色(CBクレーン)、前田製作所が緑(カーゴクレーン)などですが、ユニック車両の定番色が嫌い!そんな形にとらわれたくない!クレーンをよりかっこよくしたい!自社のイメージの色に変えたい!あるいは中古車を使用している場合は、車の持ち主が、クレーンの色を好きな色に塗装していることもあります。

クレーンの吊り上げ業務に必要な玉掛け資格(玉掛け技能講習修了証)を取得する