【DIY】自作工具・自作部品

【資格取得】TIG溶接の講習会に参加した経験から自作農具「四つ子鍬」を作る

自作農具四つ子鍬TIG溶接 おっさんの知恵袋

農具はホームセンターで手軽に購入できる時代ですが、おっさんがTIG溶接(ティグ溶接)タングステンイナートガス溶接講習会で学んできた技術の練習作品として、鍬の爪の部分を溶接して交換修理を行なった自作の鍬の作り方をご紹介します。

長年の使用で鉄の櫛が細ってしまい、使用しなくなっていた古い鍬を、TIG溶接(ティグ溶接)の練習で作った爪に交換修理を行いました。この古い鍬は、土の塊粉砕、整地、わら等かき集め、堆肥の移動など使用していましたが、経年劣化でボロボロになって使えない状態でした。

今回は、この古くてボロい鍬の爪を、TIG溶接で交換修理した話です。

古い農具には呼び名がたくさんある

農具の名前はたくさんあります。

馬鍬(まぐわ・まんが)というかつて使われていた農具をご存知ですか?馬鍬(まぐわ・まんが)は、牛や馬に鋤(すき)を引かせて田畑を耕した後、馬鍬と交換して牛や馬に引かせながら土を粉砕するための農具で、枠の角材に鉄棒を櫛状に並べて打込んだ物のことをいいます。現代でいうならば、トラクターで一気に行う作業を牛や馬を使った作業で行うイメージですね。

この馬鍬のような形をより小型にした手作業用の農具は、大半が「鍬」や「備中鍬」と呼ばれますが、地方によって名前が異なります、実際に馬に鋤を引かせて田を起耕していた人から聞いた話では「小馬鍬(こまぐわ・こまんが)」とも呼んでいたそうです。
自作農具四つ子鍬TIG溶接
今回おっさんが自作した農具が、正しくは何という名前の農具なのか、近いものはないか、インターネットで探してみたところ、名前をつけるならば、「鍬」「備中鍬」「熊手」「六つ子」「四つ子」「四本爪鍬」「四本爪草掻きレーキ」などが近いようですね。
自作農具四つ子鍬TIG溶接 おっさんの知恵袋

TIG溶接の講習会に参加してスキルを磨く【資格取得】

おっさんはTIGアーク溶接実技講習(基礎編)修了証を取得しています。

TIG溶接(ティグ)は電気によるアーク溶接の一種で、「タングステンイナート(不活性)ガス Tungsten Inert Gas」溶接の略語です。

溶接にはさまざまな種類がありますが、TIG溶接は、電極は高温に強いタングステンを使用し、その周囲にイナートガス(主にアルゴン)を流し溶接する方法です。溶接箇所に酸素が無く、材料が酸化せず、ステンレスやアルミニウム等の溶接ができることが最大の特徴です。

溶接に関わる仕事に就く場合は、TIG溶接の講習会の受講がおすすめ

もし溶接に関わる業務に携わる場合は、スキルアップや転職などでも、技術を持つ者として有利に働くことがあるので、履歴書に書ける技術資格の1つとして、TIGアーク溶接実技講習(基礎編)をの修了証を取得しておくと良いでしょう。ちなみに、TIG溶接自体は、個人的な興味で溶接を行う場合、資格を取得するは必要ありません。

ただし、電気や溶接に関わる基礎知識が無いと、感電や火災などの事故の危険があるので、包括的に電気や技術を学びたいという場合は、TIG溶接の講習会を受講の際に知識を学ぶことができます。

会社が業務として溶接に従事させる場合だと、「アーク溶接特別教育」の実施が必要となります。
会社は従事者に学科2日間で11時間、実技1日で10時間の「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を合計21時間受講して、合格すれば受講者に、アーク溶接特別教育終了証が取得できます。

専門職とされる方の場合、上級プロを目指してJIS、WES等の技能者評価試験にチャレンジするという道もあります。
おっさんは、TIG溶接の講習会を受けた後、作業をしてみたいと思うようになりました。

しかし、TIGの溶接機械は価格が高すぎて購入することができないので、知り合いの工場でTIG溶接の練習をさせてもらいました。

おっさんが練習で最初に制作したのがこのステンレス製の「四つ子の鍬」です。

TIG溶接で自作する四つ子の鍬部分の作り方

<四つ子鍬自作のための溶接方法>

  1. φ8SUS棒をバイスで挟みハンマーで叩いてコの字に曲げる
  2. φ8SUS棒2本を間に溶接し4本にして先端を鋭利にする
  3. 6mm厚鉄板の端切れを舌状のクサビ形に加工して取付穴を空ける
  4. 異金属用の溶接棒を使用してSUSと鉄の溶接を行います。

焼きが入ってないのですが、見た目は悪くても問題なく使えます。
柄に装着しないと使用できないので、自前で柄を作って使っています。

鍬の棒の部分を自作する

自作農具四つ子鍬TIG溶接
柄の部分は、家の樫の枝を切り乾燥させておいた棒を「四つ子の鍬」用に加工したので、完全に手作りで家にある木から作られる農具は愛着が湧きます。柄が反り返っているのも、手作りっぽいですが、意外とこのしなりが、強く地面に刺さるのではないかと勝手な解釈をしています。手作り感たっぷりの農具、鍬?レーキ?小馬鍬?正式名称ははっきりしませんが、気に入っています。

<四つ子鍬の棒部分の作り方>

  1. 6mm鉄板の舌状の部分が収まる太さの棒を選び長さで切り皮むきを行う
  2. 接続部分の上に舌状部分を乗せて切り込み位置、固定用のビス穴を決めて切込みの終端M4ドリルで穴を空ける
  3. 鋸で入口は6mm終端は4mm巾の斜めで2筋切込み、現物を入れながら”のみ”で調整して固めに寸法合わせをする
  4. 鉄のタガを入口から入れて取り付け部に収まるように削る
  5. 最後は固定ボルトの穴を空けて釘を打てば完成

材料はSUSφ8棒、6mm厚鉄板の端切、自宅樫の木の枝を乾燥させたもので、鍬部分は巾160mm、くし4本、45mm間隔、柄材が少し反っていたので向きを合わせて加工しました。
自作農具四つ子鍬TIG溶接

燕三条のデザイン農具「オーダーメイド鍬」がかっこいい!

TIG溶接からは、話がそれてしまいますが、古い農具と新しい農具について調べていたら、なんと最近は、スタイリッシュでおしゃれなオーダーメイドの鍬や数多くの農具を製造する「相田合同工場」さんというメーカーがあるようで、燕三条で生産されるメイドインジャパンの技術で作られています。

機能性はもちろん、デザイン性が非常に高く、シンプルでありながら、「デザイン農具」として、日本の伝統農具に新しい風を運んでいて、「スコップ型の柄の踏み鋤」は、2011年のグッドデザイン賞にも選ばれているそうです。

農業に興味のある方、スノーピークや刃物類など燕三条で作られる製品に興味のある方、美しいフォルムの鍬や農具を見てみてください。

おっさんは、これらのデザイン農具を初めて見ましたが、こんなに見た目がかっこいい農具があるのかと感動しました。こういう技術、おっさんは大好きです。

楽天でも補修用の農具の棒部分のパーツを売っているので、今回のように木から自作するよりも、まっすぐな棒だけ購入した方が断然作業効率は良いでしょう。

相田合同工場さんのオーダーメイド鍬
URL:http://www.kuwaya.com/product.html

相田合同工場さんブログ「一日一鍬」
URL:http://www.kuwaya.com/blog/

新潟燕三条の伝統鍛治 匠のぬくもり本舗 相田合同工場店 デザイン農具
URL:https://www.takumi-honpo.com/SHOP/g15068/list.html

まとめ

TIG溶接の練習で自作した鍬「四つ子鍬」は、柄の部分は自分の家の木から、爪の部分の溶接部分は、大変勉強になる実践練習となりました。

業務上作業を行う場合はもちろん、自分のスキルアップのためにも、TIG溶接の資格はおすすめです。

農具探しで見かけた「デザイン農具」と呼ばれる新しい農具は、インパクトが強く、非常に創造性を刺激されます。今回のおっさんの練習品もそうですが、オーダーメイドの農具っていいな〜と興味をそそられます。