2級ボイラー技士の資格は、ビルメン4点セットの1つに含まれ、転職などの求人において、設備系の仕事を目指すために有利な資格です。2級ボイラー技士の試験の合格率は、60%弱なので文系の人でも自信を持って勉強すれば合格するチャンスがあります。今回は、全くの素人だったおっさんが半年で2級ボイラー技士に合格した方法をご紹介します。
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なぜ文系のおっさんが奮起してボイラー技士の免許を取得しようと思ったか
もともと文系のおっさんは、かつて職場である日突然、設備管理担当に指名されました。今まで行っていた仕事とは、全くジャンルの異なる業務で、最初は右も左もわからず、戸惑うことばかりでした。
今となっては、この異動がたくさんの経験に加えて、新しいものの考え方やアイデア、発見、生活の知恵のヒントとなることをたくさん学ぶことができ、人生の大きな経験値となりました。
しかし、当時は、深刻です。日々の業務に追われながら、いろんなことを調べて、次から次に学んでいかなければならなかったので、めまぐるしく怒涛の日々を過ごしました。
もともと理系が得意な方にはわかってもらえないかもしれませんが、文系の頭で、理系を学ぶというのは、とってもしんどいことなのです。
配属された施設では、重油ボイラーがフル稼働しているのにもかかわらず、おっさんは、かつて学生時代にガソリンスタンドで行っていたアルバイト経験のみの「ど素人」です。
理系を専門とする人からすれば、おっさんの知識は「ほぼゼロに近い状態」でした。
どうすりゃいいんだ!と悔しいことばかりですが、しかし、ここで諦めるわけにはいかない!
おっさんは、新しい業務を行うにあたって、目の前で毎日稼働している重油ボイラーが、一体どういうものなのかを知るために、全くの知識ゼロから勉強をはじめて、ボイラー技士の資格を取得する決意をしました。
もし、これまで一生懸命頑張ってきた職場の経験が、急な異動によって経験値がゼロになってしまった、という同じような境遇の方がいたら、新しい環境でもやる気になればできる!ということを理解できなくても良いので、知ってください。
おっさんは、全くのど素人でしたが、実際に半年でボイラー2級など様々な資格を取得していきました。
「2級ボイラー技士」ができること
ボイラー(小規模や小型ボイラーを除く)は、ボイラー技士免許を所持した者でなければ、取り扱うことができません。また、伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラーを取り扱う作業は、特級か一級、または二級ボイラー技士免許所持する者の中から「ボイラー取扱作業主任者」を選任することが必要となります。
二級ボイラー技士は、一般に設置されている製造設備や暖冷房、給湯用のエネルギー源として、また高圧高温の蒸気による洗浄作業などを目的するボイラーを取り扱う重要な役割を担う仕事です。
近年、ボイラーの小型化が進み、簡易ボイラーを複数台連結して稼働させるような現場が増えており、さらに大規模工場だけでなく多くの企業でIT化が進む中、ボイラーのメンテナンスは、オンライン監視契約を結んで運用する形態が増えてきています。
とはいえ、ボイラーが全て無くなるというわけではないので、企業の現場では、ボイラー資格を事実上、知識や技能の確認とするための資格という考え方が増えてきているのが現状です。
2級ボイラー技士はビルメン4点セットの1つの資格
2級ボイラー技士は「ビルメン4点セット」と呼ばれる資格の中の1つであり、転職などの求人では、設備系の仕事を目指すために有利な資格といえます。
ビルメン4点セット①第二種電気工事士
第二種電気工事士は、600V以下の受電設備の工事、保守、点検ができる国家資格です。一般家住宅・商店・小規模工場・ビル等の工事で需要は豊富です。電気工事、建設、建築、電気工事請負、家電量販など求人が多いです。
ビルメン4点セット②危険物取扱者乙種4類
消防法で、化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリーなど、一定数量以上の「乙種4類危険物」を貯蔵、取り扱う施設では、危険物取扱有資格者を管理責任者とします。
危険物取扱者乙種4類は、ガソリン灯油などの石油製品、化学薬品等の輸送、一定量を超える貯蔵施設など、ビルメン、薬品関係、大規模施設、ホテルなど需要は多い資格です。この他にも甲種、丙種の資格があります。
ビルメン4点セット③第三種冷凍機械責任者
第三種冷凍機械責任者は、冷凍設備に関わる高圧ガスを製造する施設の保安業務を行う国家資格です。空調設備や冷凍及び冷蔵装置に関わる資格で、特にビルメンテナンス業界においては必要不可欠な資格となっています。
一日の冷凍能力が100トン未満の製造施設における、高圧ガスの製造に係る保安業務の管理を行う冷凍保安責任者に選任されることができます。
ビルメン4点セット④2級ボイラー技士
2級ボイラー技士とは、労働安全衛生法による国家資格の一つで、2級ボイラー技士試験に合格した免許所持者のことをいいます。 主に、空調、温水ボイラーの操作、点検を業務とし、伝熱面積の合計が25㎡未満のボイラー取扱作業主任者への指名が可能です。
2級ボイラー技士は、一般に設置される製造設備や暖冷房、給湯用のエネルギー供給源のボイラーを取り扱う重要な役割を担います。
2級ボイラー技士になるには
2級ボイラー技士になるには、全国7カ所の「公益財団法人 安全衛生技術センター」で毎月1、2回行われている2級ボイラー技士の試験に合格し、免許証の発行申請をしなければならず、この手続きをしないと免許証は交付されません。
安全衛生技術センターとは、公益財団法人 安全衛生技術協会(厚生労働大臣指定の安全衛生免許の試験実施機関)の出先機関で毎月1、2回定期的に安全衛生の各種指定免許試験を実施しています。
クレーン・デリック運転士、移動式クレーン運転士、揚貨装置運転士、発破技士、ボイラー技士、ボイラー溶接士、ボイラー整備士、潜水士、衛生管理者、高圧室内作業主任者、ガス溶接作業主任者、林業架線作業主任者、エックス線作業主任者、ガンマ線透過写真撮影作業主任者など
引用:公益財団法人 安全衛生技術試験協会 https://www.exam.or.jp/index.htm
北海道安全衛生技術センター
〒061-1407北海道恵庭市黄金北3-13
東北安全衛生技術センター
〒989-2427宮城県岩沼市里の杜1-1-15
関東安全衛生技術センター
〒290-0011千葉県市原市能満2089
中部安全衛生技術センター
〒477-0032愛知県東海市加木屋町丑寅海戸51-5
近畿安全衛生技術センター
〒675-0007兵庫県加古川市神野町西之山字迎野
中国四国安全衛生技術センター
〒721-0955広島県福山市新涯町2-29-36
九州安全衛生技術センター
〒839-0809福岡県久留米市東合川5-9-3
2級ボイラー技士の受験申請と手続きについて
ここからは、2級ボイラー技士の受験申請から試験合格後の手続きについてご紹介していきます。
受講申請書を入手する
最初に受講申請書を入手しましょう。受験申請書は各センターから取り寄せるか、WEB、近くの労基署、ボイラー協会、クレーン協会等で入手できます。
受講申請書を提出する
次に、受験料6,800円を振り込み、領収書と顔写真、本人確認証明書を受講申請書に添付します。
郵送による受験申請書の受付期間は、試験日の2か月前から14日前(消印有効)まで有効です。窓口に持参する場合は、センターの休日を除いて、試験日の2日前の16:00までが受付となります。
2級ボイラー技士の試験の合格率
2級ボイラー技士の試験では、試験日に合否発表日を告知されます。合格率は、60%弱なので文系の人でも自信を持って勉強すれば合格するチャンスがあります。
無事試験に合格したら、ボイラー技士の免許発行の申請を行います。晴れて「合格通知書」を手にしたら、次は「免許証発行」の申請が必要です。申請をしない限り、そのままでは免許証は手にできないので注意が必要です。手続きの際には、しっかり手順を確認しておいたほうがスムーズです。
新規の2級ボイラー技士免許証発行申請先は東京労働局免許証発行センターとなり、必要書類等を添付して郵送をします。
※試験を合格した”新規合格者”のうち、各地方の安全衛生技術センターから送付される郵便物に「免許試験”合格”通知書」と記載されている場合は、各地方の労働局ではなく「東京労働局免許証発行センター」に免許を申請します。
免許の取得申請にあたっては「実技講習会の修了証」「現場経験証明書」などそれぞれ条件が異なるなど、申請先がややこしいため注意が必要です。必ず自分で公益財団法人安全衛生技術試験協会のHPや労働局に直接確認してください。
合格の場合は「免許試験合格通知書」それ以外は「免許試験結果通知書」(学科試験合格後に実技教習を受ける場合を含む)でお知らせが届きます。
新規に2級ボイラー技士の試験を受け、「免許試験合格通知書」を受け取ったら、都道府県労働局及び各労働基準監督署にある免許申請書に必要事項等を記入(貼付)し、免許試験合格通知書及び必要書類を添付の上、東京労働局免許証発行センターに免許申請をしてください。
参考URL:公益財団法人安全衛生技術試験協会
2級ボイラー技士免許証発行申請に必要な書類
おっさんのように全く初めて2級ボイラー技士の資格を取得する人は、免許証の申請の際には書類と一緒に「実技講習修了証」の添付が必要です。免除項目(経験・資格など)がある人の場合、業務の経験や資格等免除項目があればその「証明書」を添付します。
現場経験のない人が受講するボイラー実技講習修了証とは?
2級ボイラー技士の免許証発行申請時に必要なボイラー実技講習修了証は、厚生労働大臣指定登録機関が行うボイラー実技講習を受講することで発行されます。
2級ボイラー技士の免許申請にあたり、現場経験のない人は「ボイラー実技講習」受講が必須です。
- 学科2日、実技1日で合計20時間の実技講習で受講後「終了証」を取得できます。
- 実技講習修了証の有効期間は1年間です。
- 実技講習の受講自体は、本試験合格の前でも後でも可能で免許申請に不利はない。
- 実技講習会は、一般社団法人 日本ボイラー協会の全国各支部で毎月実施されています。※必要なのは「実技講習会」修了であり、「技能講習会」ではないので注意が必要です。
2級ボイラー技士の本試験の内容について
2級ボイラー技士の本試験は、制限時間3時間で、4項目で各科目ごと40点以上、合計240点以上60%が合格ラインとなります。
①ボイラの構造に関する知識 10問 100点満点で 40点以上
②ボイラの取り扱いに関する知識 10問 100点満点で 40点以上
③燃料及び燃焼に関する知識 10問 100点満点で 40点以上
④関係法令 10問 100点満点で 40点以上
文系の素人が半年後に2級ボイラー技士の合格を目指す学習方法とは
ど素人でも、とにかく覚えて頭に叩き込むしかない!
まず、かつてのおっさんのような、ボイラーに縁もゆかりもない文系のど素人が、短期間で2級ボイラー技士の資格を取得する場合は、参考書を読んで理論を学んでも、おそらく全くわからない状態でしょう。
でも、大丈夫。理論を理解するよりも「覚えるが先」です。
まず最初に参考書を購入して、問題ごとそのまま頭に叩き込んでいきます。
いきなり理解していくことは、難しいことなので、問題ごと覚えていく位のつもりで、とにかく読み込んで、覚えていくしありません。
- 基本は早めに過去問題集を手に入れ、5回以上読み込みを行う!
- 理解の難しい部分は、時間がある時に知りたい部分をインターネット画像やYoutube動画検索して、解説をチェックするとお金もかからずとても参考になります。
- ボイラーを見たこともないという人の場合は、過去問に加えて、ボイラーの基礎を学べる参考書を購入しましょう。
2級ボイラー技士試験対策のおすすめ過去問題集&参考書
①詳解 2級ボイラー技士 過去6回問題集 ’19年版 成美堂出版
②一発合格! これならわかる2級ボイラー技士試験 テキスト&問題集
③[新版]最新合格2級ボイラー技士試験
ボイラーについてわからない人は、参考書も購入しておきましょう。
2級ボイラー技士試験の過去問題集を手にしたら
おっさんは、試験の過去問題集を購入後、以下の方法で試験対策の勉強を進めました。
知識ゼロから半年で2級ボイラー技士に合格したおっさん流学習方法
- 真っ先に解答ページを確認する
- まずは問題は解かないで読んで頭に叩き込むのみ!
- 第1問目から最後の問題まで、読みながら解答部分を全て黄色蛍光ペンで塗っていきます
- 問題ページを1問目から読んで問題を解き、続けて解答を入れて読む
- 全問題を計画的に5回転以上読む(試験日を逆算して早めに問題集を購入し、余裕を持って勉強を開始しましょう。)
試験問題の傾向を把握する
設問は「正しいものを選べ」「間違いを選べ」という出題が多くみられます。例えば、問題と答えを読むと、正解以外は間違いなので、設問内容の両方の記憶が頭に残ります。さらに、また同じ内容を別の角度から出題される場合も多いので、正解の判別がしやすく、読み込むことで、より理解を深めることができます。
2回目以降の読み込みは、無意識に記憶に残っている部分があるのでよりスピードUPして読むことができるはずです。
2級ボイラー技士試験は、各項目で40%以上(30点があると失格)、合計で6割以上の正解率を出せば合格なので、難しい問題は付箋をつけて後日でチェックして、時間がある時に解説やYoutube動画検索などでゆっくり学習しておきましょう。
- 2級ボイラー技士試験は、意外と準備に手間がかかるので、試験日程や申請日を調べて逆算で準備をします
- 2級ボイラー技士の試験は、各項目40点以上で計240点以上60%正解で合格できるので、初めから100%覚えようとは考えず、6割以上の正解率を出して合格することだけを考えましょう。
- つまらなくても飽きても、眠くなっても、地道に読み切ることが大切です。問題を読み込むことで、問題の傾向など、答えだけでなく、答えの導き方のヒントを見つけるためにも、継続して勉強しましょう。
実技講習の受講時期
おっさんの場合は合格後に、某大型宿泊施設の地下の巨大なボイラーでの「実技講習」を受講しました。
場合によっては試験日の直前の月に講習会を受講するのも、試験対策や地力の確認の1つとなりますが、3日間の講習は、日頃業務を行いながら勉強している人には、結構つらいもので眠気との闘いかもしれません。
とにかく、合格への道は目標をたてて、2級ボイラー技士試験の過去問題集を計画的に5回以上読み切って解答だけでなく問題ごと頭に叩きこむことが大切です。かつてのおっさんと同じ、文系で2級ボイラー技士を目指す目標を立てた方達が無事に合格して、現場で活躍することを心から願っています!
頑張ってください!